2010年3月31日水曜日

無神論者

同じテーマで仕事をしているイタリア人の研究者から「日本には主に2つ宗教があるよね」と言われた。仏教と神道である。親戚のおじさんが物理学者で日本に時々行くらしく変なことをいろいろ知っている。日本人の9割は実際には信仰を持っていないというとお前はどうなのか、と聞かれた。アメリカ人から聞かれた場合はウソでも仏教徒と答えておく方が安全だと聞いていたので一瞬返答に詰まった。
アメリカでは「無神論者」は「共産主義者」と同意でこれは「人殺し」とほとんど同じ意味だとよく言われる。25年前にドイツに住んでいたときも学校で全く同じアドバイスを受けた。一方、フランスでは「共産主義者」はむしろ「インテリ」の意味に近いはずだ。下の階層の人たちにもそのような考え方が広く蔓延しているように思われる。学校や鉄道会社など公共機関の職員の働き方、組織へのしがみつき方、あるいは民間企業でも労働者の権利の守られ方などを聞くと、ソフホーズで働いている気かとつっこみたくなる。SNCFやRATPのストなどはタイムマシンに乗って国鉄の民営化に反対するストライキを見ているかのようだった。国鉄民営化反対派はとっくに絶滅し、全員公務員から民間企業の職員となり国鉄はJRとして生まれ変わり見違えるように良い会社となった。一方、フランスでは抵抗勢力は一生絶滅しないような勢いがある。
イタリアはなじみがないが、ヨーロッパの中ではドイツやイギリスより圧倒的にフランスに近い。まず言語が良く似ている。発音は相当ちがうが表記上の類似性はドイツ語と英語より近い。そして法律でも全く同じ条文がいろいろあるらしい。このことはLes Houchesのサマースクールで会ったイタリア人達から聞いて知っていた。このようなことから推察して、イタリア人に無神論者だと言って共産主義者と誤解されても、インテリぶっているだけと判断されるだけと考え、自分は無神論者であると言った。すると彼は自分も建前上はカトリック教徒だが、それは自分が生まれたときに決めたことで、実際には神の存在を信じているわけではないと述べた。イタリアで無神論者がどのようにとらえられるかどうかは分からないが、今日のところは無事に済んだ。