今日は全米で中間選挙が行われた。コロラドの上院議員は民主党の候補に決まりそうである。それにしても上の2人の選挙CMはどちらも酷かった。特に民主党の候補による共和党候補のCM中の"Ken Buck said abortion is illeagal, even in case of rape and incest."というフレーズ。そもそもincestなどは極めて発生する確率が低く例として持ち出しても無意味で、片方の候補が実際にそう言ったとしたらその人がアホだと思うし、そのステートメントを根拠に反対陣営が「だから彼はextremistである」と言うことも馬鹿げていると思っていた。ところが研究室の人に聞くとアメリカの特に南部の州の小さい村ではそれほど稀なことではなくて変な顔をした人がたくさんいるところがあるらしい。そういえば夏に読んだ「アラバマ物語」にもそのような記述があった。まだ読んでいないがウィリアム・フォークナーの本にもそのような記述があるという。早く読まねば。
ところで、以前はアメリカの政治の仕組みや選挙制度はこんなやり方でうまく国が運営できるとはとても信じられなかった。しかしながら、アメリカの政治システムは1ビットのデジタル信号処理と本質的に同じであり、工学的な観点からすると長期的なスパンでは極めてよく機能する仕組みであるということに気がついた。
選択肢が2つだけで間がないのでどちらを選ぶか判断するのが難しいと感じるかもしれないが、思い切って両極端の2つの選択肢しか残さないところが実はうまくいく秘訣である。選択肢が3つあると最悪ケースで全体の約2/3の人の意見が反映されないことになってしまう。1/3の人たちの意見で決められた物事を残りの2/3の人たちに納得させるのは難しい。それに複数の選択肢から1つだけを選ぶということは実はほとんどの人にとって簡単なことではない。一方、選択肢が一つだけしかない旧ソ連、中国、北朝鮮のような制度はうまく機能しないことは明らかである。選択肢が2つというのはこれ以上単純な選択はないが、過半数が満足できる結果が得られかつ選択肢が一つだけよりはマシという最低ラインなのである。
両極端で排他的な2つの選択肢というのは2進数(0と1)でうまく表現できる。政権交代がきっかり4年おきに起こると0と1が0101101001…とランダムに並ぶことになる。これにより、もともとの選択肢は2つしかなかったのに長時間平均(100年とか1000年とかいったスパン)を取ることにより0と1の間のさまざまな値を得ることが可能になる。人々がどちらの政党を選ぶか決める(1か0のどちらかを選ぶ)ための仕組みは信号処理の言葉でいえば「変調」にあたる。この変調の仕組みをいろいろ工夫することにより単なる1と0からなる信号の羅列でも、信号処理の例で言えば取り出したい帯域の信号のfidelityを極端に上げるように、より豊かな表現が可能になる。上院、下院という2つの議会を用意したり、大統領選挙の間に中間選挙を設けたりというのも一種の「変調」の仕組みに相当すると思う。アメリカの政治のシステムには明快な工学的な観点あるいは数理的な構造が隠されていると確信している。
一方、日本の政治の制度設計には残念ながらそのような観点は一切ないと思われる。
