ブラジルから来ていた研究者の3週間の滞在も今週で終わり。今日は初めてダラダラしゃべったのだが、リオデジャネイロ、というかブラジルって想像していたより危険なところみたいだ。リオデジャネイロに住んでいたことがある人から「絶対に人から恨まれてはいけない」と聞いたことがあると伝えたところ、それは事実であると答えた。最近あった例として6歳の男の子がバスに乗り込むときに妊婦にぶつかって言い争いになり撃ち殺されたというエピソードが紹介された。またスラムが至る所に存在し、そこに見ず知らずの者が入っていくと警官と間違われて撃たれてしまうという。スラムの連中の思考回路は「見たことが無いヤツ」→「警官に違いない」→「殺す」というものらしい。したがって、スラムには警官も恐ろしくて入っていけないという。パリ郊外のSaint Deniと同じだ。最も驚いたのはその研究者自身が17歳の時に誘拐の被害にあったという話。学校の帰りに友達のオートバイが動かなくなり道で途方に暮れていたところ、不良に絡まれ車で散々色々なところを引き回された挙句、ATMで現金を引き出さされたそうだ。その後、その不良の家に連れていかれ、彼らのトロフィー、つまり他の人々から奪った戦利品を魅せられたという。「凄いですねー」ととにかく褒めたりおだてたりして不良たちを気持よくさせることによってなんとか解放されたという。
そもそもスラムが発生する大きな原因は家族計画のなさ。子供が10人いる家も珍しくないという。子供1人と奥さん1人でイッパイイッパイの私には10人子供を持つなんて理解不可能だ。普通の男はそんな家にはいられない。そのような家庭としては2つのパターンが思いつく。一つの可能性としては10人の子供の父親は全員バラバラで誰が誰の子供なのか分からない父親不在状態。その母親の戦略はいろんな男に「これはあなたの子供よ」と言って金をせびるパターン。もう一つの可能性は逆に母親不在の子沢山家族。だいぶ前にTBSで特集された大家族「青木家」のように。最悪のケースでは大家族の子供の一部は父親と十代の娘の間の子供という可能性もある。青木家に関してはネット上にそのような噂で一杯である。そのような状況はアメリカではもっとリアリティーがある話らしく、"Precious"はまさにそのような設定の映画である。とにかくそんな家庭では子供たちは制御不能で必然的に手がつけられない不良になり、そのような連中の存在のためにブラジルの治安はひどい状態になっているのだ。
ブラジルはワールドカップやオリンピックが控えており、そのようなスラムを解消するための取り組みをスタートしているという。具体的にはスラム出身者でも僅かながら真人間として育つ人々も存在し、そのような人の力を借りるというもの。スラム出身者は地域でよく顔が知られているので警察官と間違って殺されることもない。このようなスラム出身の協力者がスラムの人々を教育するのだという。教育の内容は家族計画らしい。これによって地域によっては出生率が2.0を下回るところも出てきたという。しかしながら、このやり方で4年後に迫ったワールドカップに間に合うのであろうか。4年後のワールドカップの時期に私たちの分野の国際会議がリオデジャネイロで開かれることが決定しているため無関心ではいられないのである。