アメリカに来る前に楽しみにしていたことの一つは日本ではみられないような、極端な肥満体の人間を観察することであった。ほとんど中国にパンダを観に行くようなノリである。ところが3月1日にデンバーの空港に到着して以来、ボールダーで極端な肥満体の人々を見かける機会はほとんどない。逆に、日本では考えられないくらいスリムな体つきでかつ筋骨隆々な人々が多い。
そのような人達が多い理由の一つはスポーツが盛んだから。走っている人や自転車に乗っている人たちが異常に多く、その走り方はダラダラジョギングをしたり、ママチャリでノンビリ走るのではなく、走る人たちは全力疾走、自転車の人たちの多くは競輪選手のような服装で競技用の自転車に乗って猛スピードで進んでいく。ボールダーに太った人が少ないもう一つの理由は食事に気を使っているから。全世界チェーンのFast foodは基本的にどこも閑古鳥が泣いていて、逆に人々は有機野菜や脂肪分の少ないタンパク質などを好むように見える。高品質の食材を売るスーパーは客で溢れかえっている。そのような店にはアスリートのような若者だけでなく老婦もたくさん買い物に来ているのだが、そのような老人、特に老婦人はみな死ぬ直前のオードリー・ヘップバーンのような痩せ方であり高貴な印象である。それに対して貧乏人用の低品質の食材を扱うスーパーは店員の方が客よりも多い日本のデパートの呉服売り場ような状態で、ボウルダーに唯一存在したそのようなスーパーは貧乏人向け路線をついにgive upし、最近質の高い食材を扱う店に生まれ変わった。
さて、上の図はCDC(アメリカ疾病予防センター)のweb siteで公開されているアメリカにおけるBMIが30以上の人たちの割合を示したものである。BMIは体重(kg)を身長の2乗(m^2)で割った値で定義されている。BMI=30というのは例えば身長が1.73mの人だったら体重90kgに相当する。これを見るとコロラド州はアメリカで最も極端なデブが少ない州であることがわかる。道理で極端なデブを見かける機会が少ない訳である。このweb siteの面白いところはこの分布図の1991年以降の経時変化が見られること。今から20年前はアメリカ全土で極端な肥満者の割合は現在のコロラド州と同等以下であったことが示されている。BMI=30の人の割合が30%を超えるアラバマ州にどうしても行ってみたくなってきた。おそらくCGアニメ映画"Wall E"のような超現実的な世界が見られると期待できる。
