2010年5月23日日曜日

one half

日本の学校はアメリカの学校と比べて数学の進度が圧倒的に早いと信じられているが、それは誤りか、情報が古いようだ。うちの息子は現在現地校の2年生に在籍しているのだが、すでに分数に取り組んでいる。日本では3年生で習い始め、かつ複雑な計算は4年生以降らしい。もしかするとアメリカでは分数は特別に重要なのかもしれない。例えばパイプの太さなどは1/4インチ、3/8インチ、1/2インチ、5/8インチ、3/4インチなど、分数で表現される。もしかして、分数の計算ができるかどうかということを社会的な階層を合法的につくるために利用しているのではと思った。「あなたは分数の計算がダメだから、ハイレベルなコースには進めません。このことにはあなたも納得しますよね」という具合に。しかし、それは必ずしも正しくない。アメリカではパイプを扱うplumber(配管工)は最底辺の仕事の代表と見なされているから。(だとすると、Desperate HousewivesのSusanの彼氏がplumberというのはアメリカ人にとっては何らかの特殊な意味がある舞台設定なのかもしれない。)それとも最底辺の職業にすら必要不可欠な計算として低学年から徹底的に教えるのか。
さて、分数の英語表現は分子が基数(one, two, three, ..)、分母が序数(third(s), tenth(s)など)、と記憶していた。しかし、これには一部例外があって、1/2と1/4はそれぞれone halfとquarterであって、one secondとone fourthではない。息子がone halfと言うのを聞いて、そういえば量子力学でも"spin 1/2"のことを確かに"spin one half"というということに気がついた。quarterの方は日常的に非常によく使用する言葉である。例えば25 セント硬貨のことをquarterと呼ぶ。分数の別の表現としては[分子] over [分母]という言い方もある。例えば1/f noise(1/f 揺らぎ)のことはone over f noiseという。
分数を何のために持ち出すかというと計算をサボるためだ。なぜなら分数は割り算を実行しないで計算を止めておくための表現だからだ。それがなぜ便利かというと、かけ算と組み合わせる場合、割り算を実行することなく正しい答えが得られることがあるからだ。例えば(1/4)×4=1という具合に。さらに、割り算を先に実行してしまうと厳密な数値が得られないこともある。例えば(1/3)×3の1/3における割り算を実行してしまうと0.3333333....という無限小数になってしまう。この計算をあるところで打ち切って、これに3をかけると0.999999となって、厳密な答えである1とは異なる結果が得られてしまう。
日本でも分数の計算で躓く人がいるという。それはなぜそのような概念を導入するか知らないからだと思う。概念を導入する理由が分からないのにいろいろな計算規則を覚え、訓練しなければならないのでモチベーションが沸かないのだと思う。それとも底辺層の子供達を挫折させて切り捨てるための社会的な装置として利用するためにそのようなモチベーションはあえて学校では教えない(あるいは強調しない)ことにしているのか。わざとやっているのでないのならば学校の教師か落ちこぼれる生徒のどちらかがbummerだ。